書の美悠々(中日新聞折込・安城ホームニュース) 24回の連載記事です。 2013年に執筆の1回~12回(前半)はこちらのページをご覧ください。 2014年の13回~24回(後半)をご紹介いたします。
第13回 ・ 1月号
紙面に文字を散らして
書くことを散らし書きと
いいます。
2文字以上つなげて
書くことを連綿といいます。
平安時代からの伝統の
書きかたです。
平安時代の実例でも、
単語の句切れは無視して、
書く人の好むままに
改行(散らし)と連綿を
しています。
第14回 ・ 2月号
現代では絹に書くことは
少ないですが、
今から400年ほど前の
明時代~清時代にかけて、
大きな絹に書いた掛軸が
流行しました。
また、古い例では、
今から2000年以上前にも、
紙ではなく絹に書かれた
書はあります。
第15回 ・ 3月号
漂白していない、
茶色の紙を使用しています。
この紙の主原料は竹です。
茶色の紙も、
味わいあるものだと
思います。
第16回 ・ 4月号
隷書は、今から2000年前、
漢時代に使われた文字です。
2200年前の秦の始皇帝の
時代まで使われていたのは、
篆書(今のハンコの文字)。
篆書は祖父。隷書は父親。
草書は長男。行書は次男。
楷書は三男。
という書体の変遷です。
お札(日本銀行券)は
楷書ではなく
隷書が書かれています。
第17回 ・ 5月号
平安時代には、北宋
(中国)から輸入された、
美しい色彩と文様のある
料紙が使われました。
後に日本でも美しい料紙を
作るようになりました。
平安時代に使われた
料紙は、博物館などで
見ることができます。
北宋(中国)で使われた
当時の料紙の実例は
ほとんど残っておらず、
手紙など、わずかに
第18回 ・ 6月号
金や銀の粉末を
膠で練った絵具を、
金泥や銀泥といいます。
奈良時代などの写経で、
紫や紺に染めた紙に
金や銀で書かれている
実例を見ることができます。
第19回 ・ 7月号
うちわや扇子に
直接書く場合には、
骨の凹凸があるため
線がデコボコになると
骨によって生じる
線の凹凸感は、
線の面白い味という
見かたで観賞すると
いいと思います。
第20回 ・ 9月号
以前に開催した個展でも
好評をいただいております、
白い筒状の照明です。
白と黒のバランスと
軽みのある筆線で、
爽やかな印象の
照明に仕上げています。
第21回 ・ 10月号
短冊は細長くて
小さいサイズですが、
玄関などに飾るには
手頃なものでしょう。
短冊は、
江戸時代の実例が
たくさん残っています。
大きさも手ごろで、
書くにも観賞するにも
便利だと思います。
第22回 ・ 11月号
屏風は中国発祥のもので、
日本では飛鳥時代には
存在したといわれます。
屏風は、広げると
大画面を作ることができ、
畳めばコンパクトです。
江戸時代には
書や絵画の屏風が
数多く作られましたが、
大画面の迫力は
見事なものです。
第23回 ・ 12月号
墨は、深みのある黒色が
良い色といわれます。
しかし、表現の方法として
マーブル模様のような
墨の濃淡があっても
面白いと思います。
水墨画では、墨の濃淡で
遠近感を表現します。
そのような感覚で
わざとらしくない程度で
墨の色を工夫することも
一方法だと思います。
第24回 ・ 1月号
書の題材の選びかたは、
書く本人が書きたいものを
素直な気持ちで書くことが
大切だと思います。
全24回の連載では、
紙のサイズや色合い、
作品の雰囲気を
いろいろと変えて
紹介してきました。
書の理解や鑑賞法の
ご参考になれば幸いです。